私の愛犬「ジャニス」との思い出

私は結婚して間もなく犬を飼い始めました。
理由は身体の弱い家内が出産に耐えれるかが不安だったので、子供の代わりとして飼い始めました。
もともと、私も家内も犬が大好きで幼少の頃から犬を飼ってきたこともあり、犬を飼うことに抵抗は全くありませんでした。
地元の動物愛護団体の主催する「里親会」で愛犬を初めて見たときは二人とも一目惚れしてしまいました。大きく垂れた耳が特徴的で整った顔立ちでした。

自分が音楽が好きだったという理由もあり「ジャニス」と名付け、夫婦で可愛がりました。
まだ生後2カ月ほどだったジャニスは成長するにつれ耳が立ちはじめました。最初は片耳だけが立ち半年を過ぎた頃から両耳が完全に立ち、大きな耳が立派に立ちました。見た目は犬というより綺麗な顔をした「リカオン」という動物のようでした。
お散歩にいくとすれ違う人から「それ犬?」としっちゅう聴かれ、子供達や学生たちは集まってきてみんなで騒ぐようなことが度々あり、毎日がそんなたわいもない話で夫婦が盛り上がるような楽しい毎日をおくりました。
ほんとに子供の代わりにしてはあまりにも出来すぎていて夫婦2人と1匹の暮らしは笑顔に溢れていました。

 私の両親の体調が余良くなく、同居していた私の姉も仕事で忙しく、両親の面倒をみることは難しいとのことで、私の実家に移り住むことになりました。
 私の父親と母親、姉と私と家内の5人で生活が始まると血縁関係の無い家内には孤独な生活となったようですが、ジャニスとの散歩の時間が唯一の癒しの時間となっていたようで後に家内が「ジャニスがいなければ私の実家での生活は精神的に無理だった」と、教えてくれました。
 やがて父の他界と母は入院することになり実家を出ました。
私の家内もお互い30歳を過ぎた頃、偶然にも家内が身籠り話し合いの結果、出産することを決意しました。

 無事出産してからもジャニスはやきもちを全く妬くこともなく我が子の様に寄り添い続けてくれました。
家内がベビーカーを押し、私がジャニスのリードをひき散歩に出た時も車や人から、赤ちゃんを守るような仕草を度々していました。そんなジャニスも15歳で老衰で他界してしまいました。
 私たち夫婦は血のつながりがある子供を亡くしたような悲しみにうちひしがれてしまいました。
やがて子育てに追われていくうちにジャニスの記憶は日々、薄くなっていきましたが、先日パソコンの写真フォルダを久しぶりに見た時は夫婦で涙し、また思い出話で笑い合いもしました。
 犬は家族と同じです。心から感じています。